岩手県野田村で高台移転が具体化
- 復興ビジョン
- 2011.12.08 Thursday
〜〈村が国に対して、どういう姿勢で臨むかの〉モデルとして紹介します
5日の朝日新聞朝刊によると、大津波で大きな被害を受けた岩手県野田村で、高台への集団移転の初めての合意ができたとのことです。
高台集団移転については難しい問題がたくさんありますが、地元自治体が国の制度や都合に合わせてではなく、住民の暮らしを守ることを最優先として復興に取り組んでいるモデルとして紹介したいと思います。
●高台集団移転とは

野田村の位置(野田村HPより)
高台集団移転は、大津波が来た場合に浸水し、生命・財産が危険になる地域を市町村が「災害危険区域」に指定し、居住を禁止することが前提となっています。居住禁止を安易に乱発すべきではないと思いますが、今回の大津波、過去の明治、昭和の三陸津波を考えた場合、高台移転が必要だと判断される地域はかなりあります。
「災害危険区域」に指定された地区・住民はまとまって移転できるように、市町村は高台に住宅地を造成し、提供することになっています。
●移転の費用

震災前の野田村の美しい風景 (東日本大震災写真保存プロジェクトのHPから)
高台の移転地の造成は市町村が行い、移転する住民は造成地を購入または借地します。そして、住宅本体は自分で建てることになります。もちろん、住宅再建が困難な高齢者等のための公営住宅も建設されますが、移転する世帯全部の公営住宅が建設されるわけではありません。やはり個々人が住宅を建てることが中心となります。
野田村が発表した試算では、高台に住宅を建てると、土地代と合わせて1400万円、災害公営住宅の払い下げを6年後に受ける場合で1280万円かかるといいます。
このお金をいかに用意するかが最大の難問です。
●国の対応の遅れ
住民にとって元手にできる唯一・最大のものは居住禁止となる元の住家があった土地の売却費です。被災者は元の土地を市町村に売却することができることになっているのですが、買取価格についての国等の基準がまだ示されていないため、被災者はいくらで買い取ってもらえるかわかりません。そのため、移転するかどうかを決めるのが難しい状況にあります。

朝日新聞の記事(1めん)
●野田村の村長さんのリーダーシップ
野田村は、そういう国の制度・基準等が定まらない段階で、いわば「見切り発車」で高台集団移転案を作成し、住民との合意を進めているわけです。
その背景にあるのは、「このままでは村外に避難した人が帰ってこなくなる」との危機感です。そして、野田村の小田祐士村長は、「制度が全部出そろうのを待っていると春になる」と言っています。
そうです。被災地には待てる限度というものがあります。大震災から1年近く経っても将来像が見えないというのでは、村での暮らしの再建を考えられなくなります。

朝日新聞の記事(2めん)
まず被災地が動き、「これ以外に方策はない」として、国に対応を迫っていく。そして、村長はその先頭にたって、責任を背負っていくということだと思います。
野田村の行動に声援を送り、栄村でも同じく、村が行動し、国に必要な対応をせまっていくというようにしていきたいと思います。

野田村の高台移転計画
(朝日新聞12月5日紙面から)



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