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長野県栄村で活動するNPO法人です。被害や復興の状況を、理事である松尾真のレポートを元に更新していきます。

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大久保集落でタケノコ狩り

 5日午前、北野天満温泉に向かう途中、大久保集落の入り口付近で阿部貞幸さんという方にお会いしました。森宮交通で運転手をされていて、フィールドワークで使うバスでよくお世話になっているので、車をとめて挨拶したところ、「今日は大久保のタケノコ狩り。1時からなので、寄ってください」と言われました。私は後述のとおり、昼過ぎまで北野天満温泉で用事があるので、「じゃあ、帰りに寄せてもらいます」と返事。午後2時過ぎに大久保の公民館を訪ねました。集落のみなさんの元気のいい声が館外にまで聞こえてきます。

<タケノコ狩りとは>
 まず、“タケノコ狩り”について説明しておきます。

 ここでいう“タケノコ”は孟宗竹ではなく、ネマガリダケのことです。山菜の一つで、まさに6月頃がこのネマガリダケの季節です。
 栄村のみなさんはこのネマガリダケで「タケノコ汁」をつくって食べるのが大好きです。もともとはニシンを入れるものなのですが、いまではサバ缶を入れることが多くなっています。

 例年であれば、この時期はそろそろ田植えも終わる頃。昔から田植えの後、「田休み」といって、集落の全員が集まり、一緒に食事をしたりする習慣が農村にはあります。栄村の場合、ちょうどネマガリダケの季節なので、田休みにタケノコ汁を食べるのです。
 もともとは前日にネマガリダケを採りに山に入ることから、この田休みの行事を「タケノコ狩り」と呼びます。

<老いも若きも一緒に楽しんでいました>
 公民館の集会場は2階。1階には誰もおられなかったので、勝手に2階に上がらせていただきました。
 大久保集落は長野県の県宝になっている阿部家住宅があるので、これまでもその阿部家住宅にはたびたびお邪魔しているのですが、大久保集落の人たち全体とはあまり面識がありません。みなさんが集まっておられるところへ、いきなり入っていくのにはいささか躊躇があったのですが、顔を見せるや、みなさんから「よく来た!」と歓迎していただきました。
 みなさんはすでにタケノコ汁を食べられた後で、お酒も入って、景品付きのビンゴゲームに興じられているところでした。おばあちゃんがたくさん並んでおられる一方、若者もいて、まさに「老いも若きも一緒に楽しむ」という雰囲気です。


ビンゴゲームに興じる大久保のみなさん

<大久保集落は震災復興の1つの鍵を握るところ>
 ビンゴゲームが終わった後、集会場の一角では、4〜5名の男性陣が熱っぽく議論を交わしていました。「原形復旧では大久保は復興にはならないんだ。震災前よりもいい大久保にして初めて復興と言えるんだ」というのが議論の内容です。
 このような議論が熱く展開されていたのには訳があります。

 大久保集落は西部地区のいちばん奥にある集落で、千曲川沿いの集落と比べると標高が200mほど高くなっています。平年ですと、雪が消えるのも下の集落よりも1週間から10日ほど遅くなります。千曲川沿いの平地から、貝廻坂というくねくねと曲がる坂道を上っていきます。役場のある森集落からですと、車でも20分以上かかるでしょう(村で車で20分というのは渋滞などありませんから、相当の長距離です)。

 大久保集落はかつて大集落だったのですが、そういう「不便な場所にある」こともあって、最近は「衰退」の傾向が見える集落です。小中学生はいません。夏の祭りも子どもがいないことから舞などが取りやめになってしまっています。

 そして、今回の震災では、「もう年寄り一人では暮らせない」ということで離村された人もあり、住民は「このままでは……」と危機感を抱いておられます。
 したがって、大久保集落が震災の危機をのりこえて、集落の持続・活性化の緒をつかめるかどうか、非常に重要なのです。栄村の震災復興の1つのメルクマールとなるといって過言ではありません。

<「にほんの里」そのものの集落>
 そういう危機を抱える大久保集落ですが、村外から訪れる人はその集落の佇(たたず)まいに感動せずにはいられません。まさに「にほんの里」と呼ぶにふさわしい集落です。

 議論している男性陣に、「大久保は外から来た人たちに人気があるんですよ。天地(てっち)から廻って来て、大久保の集落を坂の上から眺めると最高なんですよ」と言うと、「そうか、集落の人間には当たり前の風景だからな。でも、そんなにいいんだったら、人を呼んで盛り上げてよ。大学もこういうところにつくるといいんだぞ」と、いっきに都市民との交流の話へと展開。夏祭りの様子を尋ねたところ、「おお、提灯行列を盛大にやりたいなあ。8月16日だけど、学生さんを大勢連れて来て」ということになりました。

 そこで、みなさんへの呼びかけです。8月16日、是非、大久保のお祭りにご参加ください。復興支援ツアーとして、「祭りのごっつぉ(=ご馳走)」を食べる企画なども練ります。

 お祭りに都市部の人たちが大勢訪れたからといって、それだけで集落復興が実現するわけではありませんが、1つの突破口となることは間違いありません。かねがね思っていることですが、日本全体からいえば「辺境の地」にある栄村ですが、その栄村の中にも「中心地と周縁」という関係があります。国道117号線沿いや千曲川沿いの集落は交通の便もよくて勤めに出るのにも便利、村の若者住宅(村営の集合住宅)もその地域にあるのに対して、大久保などの奥地で標高の高いところにある集落は交通が不便で高齢者の買い物や通院も不自由なのです。そういう「周縁部」にスポット・ライトをあて、都市住民との交流を活発にし、交流活動の拠点を設けるなどのことができれば、新たな可能性がひらけてくるのではないでしょうか。
 8月15、16日は栄村の半分くらいの集落で祭りがあります。「復興支援・お祭りツアー」を是非、実現し、みんなで大久保を訪ねるようにしたいと思います。

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