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長野県栄村で活動するNPO法人です。被害や復興の状況を、理事である松尾真のレポートを元に更新していきます。

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田んぼの被害をどう見るか

 21日、22日の両日、青倉の田んぼの被害状況点検に廻っておられた高橋健さん*にお会いしました。22日のお昼に会ったときは、ちょうど西山田地区の点検に午前に続いて向かわれるところ。「ひどいですよ。査定調査が必要な田んぼに杭を立ててきましたが、ほとんどの田んぼにたてなければならなかった」とのこと。西山田の山に上る健さんを追いかけ、午前中に点検が終わっている田んぼの写真を撮ってきて、健さんから説明していただきました。
 いずれも、これまでに紹介した小滝の田んぼのように一見して明白な被害があるところではありません。

*高橋健さんは、栄村の「田直し」の名オペレーター。
 
<第1の事例>
 まず、青倉受託作業班が耕作している1枚の田んぼを紹介します。
 
 田んぼの全景が上写真で、田の真ん中に杭が立てられています。その杭の付近を撮影したものが下写真で、杭から写真上方にむかってクラックが走っています。

 そして、下の写真を見ると、このクラックを境界線として田の左側が下がっていることがわかります。


 この「田の左側が下がっている」というのは高橋健さんだからこそ分かるのだといえるかもしれません。地元の百姓の人でも気づかない場合が多いようです。
 
 
<第2の事例>
 つぎは、受託作業班の田んぼで、一昨年から東京の木村さん、山口さんが米作りに挑戦しておられる田んぼです。


 写真左の手前の田んぼです。やはり杭が立てられています。杭の近くにいくと、はっきりとクラックが見えます。


 上写真のやや右寄りに縦方向のクラックが見えます。そして、このクラックをたどって畔の方にむかっていくと、次頁の写真のような状況です。

 
 クラックが畔にまで達しています。


<この被害をどう見るか>

 この2つの事例は、被害が比較的軽微なものといえると思います。
 しかし、これらの田んぼをこのまま田起こし‐代掻きをした場合にどうなるのか?

 高橋健さんのお話によると、第1の事例の場合、まずクラックを放置すれば水持ちが悪くなることは確実。つぎに、田んぼの片側が下がっているので、水を入 れ、代掻きすると、下がっている側は水が溜まる一方で、下がっていない側には水が溜まらない、さらに、下がっていない側に水が溜まらないので水を入れ続け ると、下がっている側の畔を越えて水が溢れ出し、畦がぬけてしまう危険があるとのことです。

 また、第2の事例の場合、クラックが畔まで伸びているので、この状態を放置して田起こし‐代掻きを行なうと、クラックの先の畔の部分に水が入り、そこから畔がぬける(壊れる)危険があるとのことです。


<苦しく厳しい判断と対処が求められる>
 高橋健さんは、こんな話をされていました。
「ある集落を通りかかったら、あきらかに田んぼが下がっている。なのに、じいちゃんが代掻きをしている。『これは危ないから、代掻きをやめてくれ』と頼んだが、じいさまは『いやだ』と言う。家族に連絡をとって説得してもらい、代掻きをやめてもらった。」

「みなさん、『大したことない』ということで田起こしをやっているところがたくさん見られる。あのまま代掻きしたら、大変なことになるだろう。そのときに なって、『なんとかしてくれ』と言ってこられるのではないか。でも、代掻きまでやってしまうと、被害箇所がどこなのかもわからなくなり、対処が非常に難し くなる。」
 
 「なんとか少しでも多くの田んぼで作付をしたい」というのは、百姓をする者のごく自然な思いです。しかも、小さな被害は国の災害復旧工事の対象として認 められないため、復旧工事をするとなると、村単独事業となり、自己負担が大きくなります。したがって、被害を被害として認知することは百姓をする人にとっ て苦しく、厳しいことなのです。

 しかし、田起こし‐代掻きを行なう前にきちんとした調査と対策をしなければ、結局、代掻き後に事態の深刻性があきらかになり、自力で復旧工事をしなけれ ばならないということになります。しかも、阪神・淡路や中越の事例からみると、一度では直らない、厄介な事態になる可能性すらあります。
 百姓をする者にとって厳しいことですが、ここは慎重な判断が求められると思います。

 そして、「国の災害復旧事業は亀裂と段差がある場合だけを対象とし、田んぼが下がっていることは対象としない」と言われているのですが、国の災害復旧事業にはもっと対象範囲を広げ、十分な対策をとることが求められます。

 高橋健さんをはじめとして役場の直接の担当者は厳しい認識をもっていますが、それをうけて村がもっと明確なメッセージを発すること、また、国(県)に対して充分な対応を求めていくことが必要です。

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