プロフィール

profile
profilephoto
栄村ネットワーク
長野県栄村で活動するNPO法人です。被害や復興の状況を、理事である松尾真のレポートを元に更新していきます。

カテゴリー

categories

最近の記事

selected entries

最近のトラックバック

recent trackback

月別アーカイブ

archives

栄村関連リンク

links

携帯用QRコード

mobile
qrcode

ブックマーク & RSS

Bookmark&RSS

専門家の被災地との関わりはどうあるべきか

 今夕、名古屋から訪ねて来られたTさんという建築の専門家とお話しました。4月16日にも住宅に関する説明・相談会でお越し下さった方です。
 「ご相談したいことがある」と昨夜ご連絡をいただいてお会いしたのですが、ご相談は、「現在、村の様子はどうですか。私たちが支援するには、どういう取り組みが望ましいか」という趣旨のことでした。
 私は非常に嬉しく思いました。というのは、このGWの過程、「調査公害」とでも言いたくなるような光景を連日見てきたからです。
 専門家が被災地栄村に関わろうという場合、大別して2つのスタンスがあります。第1は、被災地・被災者の復興に役立つように自分の専門的な知見や技術を 提供するというもの。第2は、自らの専門分野の研究材料としてのみ被災地を見る、あるいは、自らの専門的知見をふりかざし、被災者に自らの考えや技術を押 しつけるようなスタンスです。

<「調査公害」とは>
 私が「調査公害」と呼ぶのは、「自らの専門分野の研究材料としてのみ被災地を見る」というものです。
 このGWの過程、村の随所でそういうスタンスの調査チームの姿を見かけました。集落の中を廻り、建物や農地などを見ています。役場くらいには「調査に入 ります」と一言、断りを入れているグループもあるようですが、集落の責任者や集落の人にはまったく何の断りもしません。集落というものは、都会の街とは違います。むら人の暮らしの場そのものです。そこに断りなしに入り、勝手に動き回るというのは、他人の家に土足で入り込むに等しい行動だと言わざるをえませ ん。
 1つのグループに声をかけてみたところ、「学会で調査している。村役場には一言断ったが、調査結果を村に報告する義務はない。学会に報告を出す」とのこ とでした。被災地を調査することは、それぞれの専門分野で色んなデータを収集し、今後の防災に役立つような知見を獲得していくことに役立つ。その意味では たしかに学問的、そして社会的な意味・意義があるといえます。

<何のための調査‐学問なのか>
 しかし、彼らの視野には、いま現に被災し、復旧・復興のために苦闘している住民の存在は入っていないように思います。私が声をかけたグループの専門分野 は、まさにいま村で多くの人が困っている問題に関わるものでした。村の人間には知識がなくて困っている問題について、専門的な知見を有している人たちなの ですが、彼らは何らかのアドバイスをしてくれるわけでもありません。
 私も大学に籍をおく人間ですので、学問というものには即時的な実践性だけが問われるわけではない、いや、即時的な実践性は基本的にない基礎研究、理論研究があることは理解しているつもりです。
 しかし、防災に関わる分野の専門家が被災地に来て、少しでも被災者に直接・間接に役立つことをするという姿勢がないのであれば、それはいったい何のための調査‐学問なのかと問わざるをえないと私は思うのです。
 
 いま、栄村は復興のために、むら人自身の力とともに、専門家の力も必要としています。被災者の思いを根本に据えた専門家とむら人の協働を是非とも実現していきたいと思います。