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栄村ネットワーク
長野県栄村で活動するNPO法人です。被害や復興の状況を、理事である松尾真のレポートを元に更新していきます。

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新しい産業を創ろう

 ここからは一転して明るい話題です。
 栄村の復興を進めるべく、会社を立ち上げて、新しい産業を創ろうという話が持ち上がってきています。

● 「モノよりヒトへ、新設から既存で、作るから考えるで」
 このタイトルは、つい数日前にある人から提案された起業計画の考え方を示すスローガンです。少し説明します。
 「地域づくり」とか「産業おこし」というと、すぐに新しい施設(ハコモノ)を作る話が出てきやすいのですが、この提案者はそういう考えには反対です。
 ハコモノ作りではなく、地域で暮らすヒトの持つ知恵や技を活かそう。これがまず第1です。そして、第2に、新しく設備投資するのではなく、既にあるものをどんどん活かしていこうということです。1つには栄村にいっぱいある自然の資源を活かすことです。川(水)、雪、田んぼ、野菜等々です。2つには遊休施設を活かすことです。空き家になっている家に少し手を入れれば、立派に会社の事務所も確保できます。第3は、したがって、“考える”ことが大事だということです。


● 雪を活用する具体例
 本号の記事に示したように残雪は田んぼにとっては厄介ものですが、栄村への誘客という点から見たら、貴重な資源となります。
 スキー場の営業は3月末までですが、里には4月末頃まで、山には5〜6月まで雪があります。これを有効利用できるのです。
 かんじきやスノーシューを履いて裏山雪ツアーができます。きちんとした指導者がいれば、スキーすら可能です。
 こういうことをやれば、ガイドという雇用(仕事)が生まれます。来客に伴う宿泊も生まれます。温泉客も増えます。
                       

貝立山裏での雪上ハイク(2010年5月1日)


● 川を活用する具体例
 栄村には日本一の大河・千曲川が流れています。この千曲川を活用するリバー・アクティビティ(川遊び)ができます。ラフティングはその最もいい例ですが、カヌーもできます。また、千曲川だけでなく、志久見川も活用できます。
 ラフティングはラフティングだけでは終わりません。川に入った後には温泉入浴がつきものです。
 そして、「バーベキューをやりたいな」という話になります。
 そうすると、「リバー・ガイド」の雇用が発生します。「バーベキュー屋」が誕生します。バーベキューにはみゆきポークや津南のポークを使いますが、同時に新鮮な野菜が魅力。野菜をつくったかあちゃんを写真入りで紹介し、「キュウリに味噌をつけて食べる」なんてことが大いにうけます。これは2009年夏に「にほんの里100選ツアー」で実証済みです。ラフティングは野菜の直売も可能にするのです。


千曲川でのラフティング(2010年8月)   


●“むら”を活かす旅をどんどん売り出す
 都会の人は“田舎”を体験したがっています。
 「ずっと暮らすのは大変だけど、1年に1〜2回は訪れてみたい」と言います。村の人からすれば「勝手な話だな」と思われるかもしれませんが、それが村の産業になるのであればOKではないでしょうか。
 都会育ちの私ですら驚いた話ですが、村の人を訪ねてきた都会の知り合いが、畑で草取りをしているかあちゃんを見て、「生(なま)農作業を見た!」と言って興奮・感動したというのです。べつに特別の演出をする必要もありません。むらの人が当たり前の暮らしをしている様子が「商品」になるのです。                    

ズッキーニ収穫体験(2011年8月)


農家の軒先で採れたてのスイカを食べる(同上)


● 大規模初期投資が要らない
 この話のミソは大規模な初期投資が要らないことです。たとえばスキー場をつくるという場合は何億円もの投資が必要です。たとえ補助金等を使っても、補助金は長くても3年どまり。そこから先は自力経営が求められますが、売り上げが伸びないと、たちまち、施設維持経費がかさんで赤字経営になります。
 雪山を歩く、川をラフティングで下る、畑や田で収穫体験をする…に初期投資は要りません。おカネがない私たちには最適の産業です。


● 問題は人とマネジメント、システム
 では、「何にも無し」でも起業することができるのか? そういうわけにはいきません。
 必要なのはヒトです。やる気、“ずく”のある人がまず第1に必要。
 もう1つは、ここまでに紹介してきたような「商品」を売り出す、多くの人に伝える、マネジメントする、そのシステムを創ることです。
 それが「会社」です。
 株式会社を設立するのがいいと考えています。株式会社は現在、「資本金1円」でも設立できますが、それではやはり少々格好悪いでしょう。社会的信用も得られないかもしれません。でも、株式会社という制度は、大金持ちでなくても始められる制度です。一人が10万円でも5万円でも、そして1万円でも構いません。“出資”してもらうのです。東北の被災地でも始めています。「栄村でもやろう!」という思いが高まってきます。
 自分でお金を出して、いわば断崖絶壁に立ってこそ、ホンモノの“ずく”が出てきます。
 「俺もやってみよう。やってみたい」という人、とくに若い人、是非、一報ください。仲間に入っていただけるよう、種々のご案内をします。是非、よろしく。
(次は、農業版起業についての提案もしたいと考えています)

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