雪害、対策、ボランティア等をめぐって
- 豪雪地域での復興
- 2012.02.10 Friday
● 「大雪」「豪雪」という言葉と“雪害”という言葉
今年の大雪は“豪雪”と呼ぶのがふさわしい凄さです。ただし、「大雪」も「豪雪」も、降積雪の状況を指す言葉で、被害状況を表すものではありません。人の暮らしとの関係では、“雪害”という言葉で表すことが必要です。
地震の場合、すぐに“震災”という言葉が出てきますが、雪の場合は、今年の雪をめぐってTVニュースでも「大雪」「豪雪」という表現は頻繁に出てきますが、“雪害”という言葉はあまりポピュラーではありません。また、役場が設ける対策本部も地震の場合は「災害対策本部」であるのに対して、雪の場合は「豪雪対策本部」であって、そこに「災害」の二文字はありません。これは法律上の規定による相違のようですが、〈雪と災害〉ということを真剣に考えることが必要だと思います。
● “雪害”とは何か
雪による災害・事故としては、ニュースでも報道されている雪崩、道路での車の立往生、落下雪の下敷きになっての死亡事故、除雪作業中の事故などがすぐに浮かんできます。全国での死者の数だけでも100名に近づいていますから、これだけでも“雪害”と呼ぶのが適切でしょう。
と同時に、〈“雪害”とは何か〉について、もっともっと議論を深め、その対策を本格的に考えることが必要だと思います。そうでないと、屋根の雪下ろしをめぐる個々人の注意深さのような問題だけに解消されかねないと思うのです。

上の写真をご覧ください。8日午後に撮影したものですが、左手の建物は現在使用されていない作業小屋です。右手は3年ほど前に改築された住居で、人が住んでおられます。作業小屋の屋根の雪がようやく落ちたのですが、それが右手の住家にむかって飛び、押してくるのです。その様子をもう1枚の写真でご覧ください。

右手の住家の窓にコンパネが置かれています。作業小屋の雪で窓ガラスが割れるのを防ぐためです。
村の人ならば、こういうケースは珍しいものではなく、「よくあることだ」と思われると思います。このケースをここで紹介するのは、雪のない地域にお住まいの方たちに“雪の大変さ”、“雪害”ということを具体的にご理解いただくためです。
大雪‐雪害への対応は、大雪時に急遽、対策をとるだけでは対応できないのです。そのそも、家をどこに建てるか、隣の家との距離や位置関係をどうするのか、除雪した雪をどこに持っていくのか、等々を考え、平素から対処していくことが必要なのです。
雪国にも「都市」というか、街があります。栄村の近くでも津南町や十日町市の市街地はそれに当たります。私も時々、用事で出かけた時に、積雪の様子、除雪の様子を見ますが、排雪の場所がなくて困っておられます。よほどの工夫、計画的な街づくりをしないと、雪と都市というものは共存し難いのですね。
●個々の世帯の経済的負担への支援が必要
本レポートでも一度取り上げましたが、個々の世帯が除雪に要する費用は膨大です。以前のレポートでは融雪屋根にしている場合の灯油代を紹介しましたが(1冬で20〜40万円)、それ以外にも多くのおカネがかかります。
家周りの雪の片づけ(屋根から落下の雪の片づけを含む)はスノーダンプ等を使っての手作業だけでは追いつきません。スノーロータリーを使って雪を飛ばすことが不可欠です。私が栄村に住むようになって満5年ですが、年々、家庭用のスノーロータリーを購入されている世帯が増えているように思います。

スノーロータリー
最近のものは事故を防ぐ安全装置も充実し、使い勝手がいいものが増えているようですが、購入価格は半端なものではありません。「1馬力10万円」
と言われ、少なくとも20馬力は欲しいといわれます。すると200万円です。ごく普通の乗用車よりも高いものなのです。屋根から落ちた固い雪を処理するには300〜400万円クラスのものが必要だといわれます。
しかも、かかるのは購入費用だけではありません。スノーロータリーの燃料は軽油ですが、その費用もまた大変です。1回の除雪作業であっという間に30?くらいを消費します。1?120〜130円で3,600〜3,900円です。1ヶ月で4万円近くの出費になることもあります。
ロータリーでの除雪作業をお願いすることもあります。
栄村の手間賃は近隣地域と比べて安いといわれていますが、機械代(燃料費込み)が1時間5千円、労賃が1時間1,500円。1日作業してもらうと、6,500×8=52,000円となります。今年のような豪雪だと、一冬で4〜5回、作業してもらうこともあります。20〜25万円の出費です。
どのような法的枠組みで可能なのか、しっかり検討することが必要ですが、こうした各世帯の経済的負担への支援が必要であることは疑問の余地がないと、私は考えます。
「なんでも支援していたら、国も自治体も財政がもたない」という声が聞こえてきそうですが、私はそうは思いません。全面的に論じ始めたら長くなりますので、結論だけをいいますと、日本の社会・経済は、社会・経済を成り立たせるために人間が自然及び自然がもたらす災いと向き合っていくうえで必要な費用の多くを「外部経済」として経済計算の中に入れず、個々人の負担に委ねることで、誤った経済効率性を追求してきたのです。
考え方を変えれば、雪とのたたかいは栄村の雪害対策救助員制度のように冬の雇用を生み出し、経済効果を生み出しさえするのです。そして、そのための財政資金は、栄村の豪雪が生み出す水をタダ同然で使っている東京電力やJR東日本が「外部経済」として扱ってきたものを自らの経済計算の中に含めれば確保できるのです。
(つぎに除雪ボランティアの話を書きたいと思ったのですが、時間がないので次回以降にまわします。)
今年の大雪は“豪雪”と呼ぶのがふさわしい凄さです。ただし、「大雪」も「豪雪」も、降積雪の状況を指す言葉で、被害状況を表すものではありません。人の暮らしとの関係では、“雪害”という言葉で表すことが必要です。
地震の場合、すぐに“震災”という言葉が出てきますが、雪の場合は、今年の雪をめぐってTVニュースでも「大雪」「豪雪」という表現は頻繁に出てきますが、“雪害”という言葉はあまりポピュラーではありません。また、役場が設ける対策本部も地震の場合は「災害対策本部」であるのに対して、雪の場合は「豪雪対策本部」であって、そこに「災害」の二文字はありません。これは法律上の規定による相違のようですが、〈雪と災害〉ということを真剣に考えることが必要だと思います。
● “雪害”とは何か
雪による災害・事故としては、ニュースでも報道されている雪崩、道路での車の立往生、落下雪の下敷きになっての死亡事故、除雪作業中の事故などがすぐに浮かんできます。全国での死者の数だけでも100名に近づいていますから、これだけでも“雪害”と呼ぶのが適切でしょう。
と同時に、〈“雪害”とは何か〉について、もっともっと議論を深め、その対策を本格的に考えることが必要だと思います。そうでないと、屋根の雪下ろしをめぐる個々人の注意深さのような問題だけに解消されかねないと思うのです。

上の写真をご覧ください。8日午後に撮影したものですが、左手の建物は現在使用されていない作業小屋です。右手は3年ほど前に改築された住居で、人が住んでおられます。作業小屋の屋根の雪がようやく落ちたのですが、それが右手の住家にむかって飛び、押してくるのです。その様子をもう1枚の写真でご覧ください。

右手の住家の窓にコンパネが置かれています。作業小屋の雪で窓ガラスが割れるのを防ぐためです。
村の人ならば、こういうケースは珍しいものではなく、「よくあることだ」と思われると思います。このケースをここで紹介するのは、雪のない地域にお住まいの方たちに“雪の大変さ”、“雪害”ということを具体的にご理解いただくためです。
(なお、前頁写真の作業小屋ですが、これは単純に取り壊せばいいというものではありません。道路を挟んで反対側にある古民家とワンセットのもので、古民家活用プロジェクトにとって重要な資産・資源なのです。古民家については人材と予算を確保して今冬の除雪対策をしていますが、この作業小屋についても同様の対策をとることが必要です。)栄村の場合、農村で、家があまり建て混んでいないので、まだいいのですが、家と家の間に相当の空間がないと豪雪‐雪害には対応できないのです。
大雪‐雪害への対応は、大雪時に急遽、対策をとるだけでは対応できないのです。そのそも、家をどこに建てるか、隣の家との距離や位置関係をどうするのか、除雪した雪をどこに持っていくのか、等々を考え、平素から対処していくことが必要なのです。
雪国にも「都市」というか、街があります。栄村の近くでも津南町や十日町市の市街地はそれに当たります。私も時々、用事で出かけた時に、積雪の様子、除雪の様子を見ますが、排雪の場所がなくて困っておられます。よほどの工夫、計画的な街づくりをしないと、雪と都市というものは共存し難いのですね。
●個々の世帯の経済的負担への支援が必要
本レポートでも一度取り上げましたが、個々の世帯が除雪に要する費用は膨大です。以前のレポートでは融雪屋根にしている場合の灯油代を紹介しましたが(1冬で20〜40万円)、それ以外にも多くのおカネがかかります。
家周りの雪の片づけ(屋根から落下の雪の片づけを含む)はスノーダンプ等を使っての手作業だけでは追いつきません。スノーロータリーを使って雪を飛ばすことが不可欠です。私が栄村に住むようになって満5年ですが、年々、家庭用のスノーロータリーを購入されている世帯が増えているように思います。

スノーロータリー
最近のものは事故を防ぐ安全装置も充実し、使い勝手がいいものが増えているようですが、購入価格は半端なものではありません。「1馬力10万円」
と言われ、少なくとも20馬力は欲しいといわれます。すると200万円です。ごく普通の乗用車よりも高いものなのです。屋根から落ちた固い雪を処理するには300〜400万円クラスのものが必要だといわれます。
しかも、かかるのは購入費用だけではありません。スノーロータリーの燃料は軽油ですが、その費用もまた大変です。1回の除雪作業であっという間に30?くらいを消費します。1?120〜130円で3,600〜3,900円です。1ヶ月で4万円近くの出費になることもあります。
ロータリーでの除雪作業をお願いすることもあります。
栄村の手間賃は近隣地域と比べて安いといわれていますが、機械代(燃料費込み)が1時間5千円、労賃が1時間1,500円。1日作業してもらうと、6,500×8=52,000円となります。今年のような豪雪だと、一冬で4〜5回、作業してもらうこともあります。20〜25万円の出費です。
どのような法的枠組みで可能なのか、しっかり検討することが必要ですが、こうした各世帯の経済的負担への支援が必要であることは疑問の余地がないと、私は考えます。
「なんでも支援していたら、国も自治体も財政がもたない」という声が聞こえてきそうですが、私はそうは思いません。全面的に論じ始めたら長くなりますので、結論だけをいいますと、日本の社会・経済は、社会・経済を成り立たせるために人間が自然及び自然がもたらす災いと向き合っていくうえで必要な費用の多くを「外部経済」として経済計算の中に入れず、個々人の負担に委ねることで、誤った経済効率性を追求してきたのです。
考え方を変えれば、雪とのたたかいは栄村の雪害対策救助員制度のように冬の雇用を生み出し、経済効果を生み出しさえするのです。そして、そのための財政資金は、栄村の豪雪が生み出す水をタダ同然で使っている東京電力やJR東日本が「外部経済」として扱ってきたものを自らの経済計算の中に含めれば確保できるのです。
(つぎに除雪ボランティアの話を書きたいと思ったのですが、時間がないので次回以降にまわします。)



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むらたびは、体験イベントを通して栄村の〈むららしい暮らし〉や自然を満喫し、栄村の復興に繋げる新しい旅です。






