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栄村ネットワーク
長野県栄村で活動するNPO法人です。被害や復興の状況を、理事である松尾真のレポートを元に更新していきます。

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仮住居がある飯山市静間に行ってきました

家に住めない人に「仮住居」として県から提供された公営住宅が飯山市にあります。No.3でも報告したとおり、飯山に行っている人の中では「村に帰れるのか」という不安が高まっています。また、子どものいる家庭では子どもたちの通学問題をめぐって深刻な問題が生じています。昨日は、飯山に仮住まいされている方からメールもいただきました。

そこで、今日はその「仮住居」がある飯山市まで行ってきました。


<むらとは大きく異なる環境>
お訪ねしようと思った人の一人は小滝集落のHさん。70歳代後半でご夫婦でおられます。小滝の区長さんに住所を問い合わせたところ、「■号棟5■■号」と 言われたので、5階建てなのだろうと思い、高い建物を探して行きました。「アップルランド(スーパーの名前)の裏手だよ」と言われていたので、そのあたり に行ったのですが、当初、そんな高い建物は視界に入ってきませんでした。飯山市は栄村と比べれば「都市」ですが、高層の建物があまりあるところではありま せん。車を運転しながらキョロキョロして探すと、しばらくして見つかりました。雇用促進住宅だそうで、5回建ての団地風の建物が2棟立っています。


<「何もすることがない」>
はじめに、小滝のHさん夫妻を訪ねました。エレベーターなしで5階まで階段を上がります。「5階まで上がるのは大変ですね」とお聞きすると、「コンクリートの階段は固いからね」というご返事。いつもは土の道を歩きなれているむらの高齢者には苦痛です。

Hさんは4月2日に入居されましたが、「毎日、何をされていますか」とお尋ねすると、「何もすることがない」というご返事。奥さんは「『散歩でもしなきゃ 駄目よ』と言うんだけど、行かないの」と。すると、Hさんは、「散歩といっても。むらだったら山さわぎに行うんだけど」とのお答え。「山さわぎ」というの は、集落の近くの山に入って、山菜を採ったりすることをいいます。

むらの暮らしには、自然に体を動かす活動がいっぱいあります。しかし、飯山という都市だと、そういうことができないのですね。同じようなことを、埼玉の娘 さん宅に避難されていた高橋甚治さんの奥さんも言っておられました。そして、たとえ近くに畑や山があっても、自分の畑、集落の山ではないので、勝手なこと はできません。むらでも、朝の散歩をする人はいますが、散歩としての散歩はむらの人にはあまりむかないのです。

<「鉄扉だからお茶のみの誘いあいはない」>
この雇用促進住宅を仮住まいとしている栄村の人がかなりの人数おられます。そこで、奥さんに「むらの人同士で集まったりすることはありますか」と尋ねてみ ました。お答えは「そういう機会はない。扉があれ(=鉄扉)だから、訪ねにくくて」というもの。横からHさんが「ほら、むらは扉なんか開け放してあるか ら」と。
阪神大震災後の復興住宅で鉄扉の高層マンションに移った高齢者の孤独死の話を思い出しました。


<「小滝に帰ることさえできれば、寝るのは小屋でもいい」>
いま、小滝集落では、地震で内装が大きく損傷した公民館を早期に修理し、飯山に行っている人たちがむらに農作業に帰ってきたとき、1晩でも2晩でも泊まれ るようにしようという話が持ち上がっています。ただ、この話を進めようとした矢先、大工さんが「傾き等もあり、根本的修復が必要。そのときは、いったん修 理した内装をもう一度剥がさなければならない」と言ったことから、話がストップしています。

この公民館の話をすると、Hさん夫妻は、「そうしてもらえればね。寝るのは母屋の隣の小屋の2階でも構わない」と言っておられました。小滝に戻りたいとい う強いお気持ちを感じるとともに、農作業の合間におちゃのみしたりする場として、公民館を一刻も早く修理することが必要だと思いました。

そこで、栄村ネットワークに義捐金をお寄せ下さったみなさんに相談です。公民館の根本的修復工事はもう少し先に集落(区)で考えていただくこととして、高 齢世帯が多く、財政力が弱いという小滝集落の現実を考えて、当面の応急修理についてはネットワークに寄せられた義捐金の一部を使わせていただくことにご賛 同いただけないでしょうか。小滝では24日に総会が開かれます。私としては、22日中にはその旨の申し入れを小滝集落にしたいと思っています。是非、ご賛 同をお願いいたします。