- このコラムでは、生きものを身近に感じていただけるよう、彼らの暮らしを紹介しています。
この企画を立ち上げたきっかけ
きっかけは、一言でいえば、恩返しです。
私は3歳の頃から、シマリスと暮らしてきました。
内向的で気が弱く、友達もほとんどいない子供時代の私にとって、シマリスが親友でした。
学校でいじめられてた時も、孤独で苦しかった時も、辛い事があっても、いつもシマリスが心の支え。
人生で大切な事をたくさんたくさん、教えてくれた存在です。
シマリスが夢を抱かせてくれた。
絵を描く人になる、という夢を目指しながらも、大学は環境問題を研究するところへすすみました。
「シマリスの事をもっと知りたい」と思っているうちに、
自然や環境に興味がどんどん深まっていったのが理由です。
いつしか、
「生きものの為に、絵で何か役に立てる人になりたい。」
そんな夢を抱くようになりました。
私にそんな夢を抱かせてくれたシマリスは、3匹とも天国に旅立ちました。
当時の葛藤と、いま、胸にある想い。
正直なところを話すと、リスを飼っている間はずっと葛藤がありました。
小さな頃は一緒にいられるのは純粋に幸せでした。
すこしでも心地よく過ごしてほしくて、生態や森の暮らしの様子を調べれば調べるほど、その葛藤は大きくなっていきました。
「この子にとって、本来の暮らしじゃないよね…」と胸がチクリと痛みました。
それでも、私にとってシマリスがそばにいるのは子供の頃からあたりまえの景色。
孤独な自分にとっては、救いでもあり、彼らがいない人生は考えられないものでした。
小学校、中学校、高校、大学、社会人…3匹のシマリスと暮らし続けました。
最後の子を見送って、7年が経とうとしています。
大切な存在という事実は、きえない。
そして、いまは不思議とシマリスを飼いたいという気持ちはありません。
儚いからこそ、強くのこる
そんな自分は死と向き合えてるのか、向き合えてないのか、よくわかりません。
ただ確かに感じるのは、シマリスは一生、自分にとってずっと大切な何かなんだという静かな思い。
「ずっと大切な何か」が、いったい何であるのかは、まだうまく言葉になっていません。
その存在が、大きすぎて、優しすぎて、どう言葉で言い表してよいのかわからないのです。
だから、絵で描くしかないのかもしれません。
小さないのちは、ほんとうに儚いです。
どれだけ引き止めても、悲しんでも、別れがやってきます。
ただ、儚いからこそ、とても鮮烈に。
ともに過ごした隣のいのちの、心にいつまでも生きるのかもしれません。
この世界で、しあわせに生きててほしい
シマリスや小さな生きものたちが、幸せに、そのいのちを生きていてほしい。
もう、私の近くにいなくてもいい、ふれられなくてもいい。
優しい、愛しい、小さないのち。
その命が、彼らの生きる場所で、生きていてほしい。
小さな生きものが暮らしていける場所が、大切にされてほしい。
生きものの物語が、続いてほしい。
得意な絵で、彼らの役に立てることができたら。
一瞬でも彼らの”すみか”や”暮らし”に想いをはせる時間を生み出せたら。
どこかで誰かが、いのちを慈しみたいな、という気持ちをそっと抱くきっかけになれたら。
人生をともに過ごしてくれた天国のシマリスに、少しでも恩返しができるような気がしているのです。
小さな生き物たちへの思い
- 最近、Twitterやサイトでちょこちょこ見ているうちに、なんだか愛しく思えてきたかも…。
そんな風に、感じていただけたら、幸せだなと思います。
心に寄り添うことから、優しさがうまれる
知らない生きものや、とくに好きではない生きもの。
そんな存在に対して、どれだけ長々と保護の合理性を説かれても、人は動けないものです。