このコラムでは、日本の生きものを身近に感じていただけるよう、彼らの暮らしを紹介しています。
- 今日はぼく、ホンドタヌキだよ!
ホンドタヌキは低めの山や森、里山(民家の近く)に暮らす生きもの。
日本では、おなじみの動物ですよね。
ところが、タヌキは世界的に見ると、アジアの一部にだけに生息している、めずらしい生き物なのです。
- さらに、日本のタヌキは日本にだけ暮らす固有種だということも判明したんじゃ。
- えー!そうだったの~!
ホンドタヌキは夜行性
- ホンドタヌキくんはいつ活動するの? ぼくは夜!
- ぼくも夜。昼間は敵に見つかりやすくて怖いんだもん。
タヌキは、敵から身を守る武器を特に持っていません。
怖がりで警戒心の強い生き物で、活動するのは主に夜です。
ただ、エサの少ない地域や子育て中のタヌキは、危険覚悟で、昼や夕方に活動することもあるようです。
- 昼間はイヌワシとかが怖いけど…ご飯のためなら、行くしかない!
タヌキはイヌ科の動物だよ
- ぼくは食肉目!(しょくにくもく) 狩りをするのが得意なグループなんだ。
分類学では、それぞれの生き物は
〇〇目 → 〇〇科 → 生きものの名前
という順番で枝分かれをしています。
食肉目(狩りをするが得意なグループ)の→
イヌ科(イヌのグループ)の→
ホンドタヌキ(種の名前)
…という分類だよ。
ホンドタヌキの学名の意味と読み方は?
学名とは、ラテン語による生物の分類で、世界共通で使われている呼び名です。
ホンドタヌキの学名はこちら。
「Nyctereutes procyonoides viverrinus」
さて、どんな意味なのでしょう。調べてみました。
Nyctereutes(ニクテレウテス)=夜+探す
procyonoides (プロキオノイデス) =アライグマ+似たもの
viverrinus …???
- うーむ… viverrinus は調べたけど、意味の特定ができなかったのじゃ。
ただ、
Nyctereutes procyonoides=タヌキ
Nyctereutes procyonoides viverrinus=ホンドタヌキ
なので、「ホンド」のニュアンスがあるのかな?と想像しています。
まとめると、タヌキの学名は、
- ”アライグマに似た、夜にものを探す動物”
って意味なんだよ。
タヌキが属している、イヌ科とは?
- 他にイヌ科の生き物は、どんな子がいるの?
日本に分布しているイヌ科の生き物は、キツネがいます。
今は絶滅しましたがオオカミも。
ちなみに、イヌ科とは狩りをするタイプ(食肉目)の生き物。
接近戦のネコ科に比べて、イヌ科は草原など開けた環境で長距離走って獲物をとらえるよう進化した生き物です。
- ただ、僕たちタヌキはイヌ化の中でも、原始的な動物なんだ。
他のイヌ科の動物とは違い、草原に出ず、森に残ったのがタヌキと言われています。
走って獲物を捉えるような狩りはせず、森で地上に落ちている果実や昆虫を食べます。
イヌ科の動物は走るのに適した長い足を持ちますが、一方、タヌキの足は短めで、丸っこい体つき。
- 僕のごはん探しには、この短めの手足が、ぴったりなんだよ。
亜種にエゾタヌキがいるよ
ホンドタヌキは、本州、四国、九州、に暮らしています。
- 亜種の「エゾタヌキ」は、北海道に暮らしているよ。
- ねえねえ、亜種ってなあに?
亜種は、暮らしている地域が違うことで、大きさ、形、色などに違いが見られる種のことをいいます。
例えばエゾタヌキは、ホンドタヌキに比べて、より冬毛がモフモフとするので大きく見えたり、毛の色が淡め、目のまわりの黒フチ模様が小さめ…などの違いがあります。
亜種は、大きく分けると同じ種なので、亜種同士で子孫を残せると言われています。
タヌキの特徴は?
- 僕たち 狸の特徴は、目のまわりの「ハの字模様」だよ♪
目のまわり~アゴにかけてが黒く、鼻すじは白いです。
体は全体に(おなか側も)茶褐色で、肩周りが黒くなっています。
しっぽの表は黒く、内側は明るめの色をしているようです。
- ほうほう、アライグマとぱっと見、よく似ておるが、しっぽがシマシマしていないんじゃな…!
ホンドタヌキの指は…
ホンドタヌキの指は、前脚が5本、後ろ脚が4本。
ただし、前足の第一指は、地面につかない位置にあります。
- 第一指は、人間の手でいえば「親指」にあたる指なんだよ。
タヌキの足跡は…
親指にあたる1本目の指は、地面につきません。
そのため、ホンドタヌキはの足跡は、前も後ろも、指の跡が4本分残ります。
また、タヌキの足跡は全体的にまるっこく、よく「梅の花」に例えられています。
ネコの足跡とよく似ていますが、タヌキの方には爪の跡もセットでついているのが特徴。
- 爪はひっこめる事が出来ないんだよね。(イヌ科あるある)
ホンドタヌキは、どんぐりや木の実が大好き
ホンドタヌキは雑食性の動物。いろんなものを食べます。
植物性だと、ドングリ、銀杏などの木の実、カキ、ビワなどの果実。
動物性だと、昆虫(ミミズや蛾、甲虫)、ネズミなど小動物、鳥、サワガニも食べます。
- カブトムシも大好き!ムシャムシャ…!
調べてみて「へー!」と驚いたのですが、タヌキはカブトムシの主要な捕食者でもあるようです。
また、何を多く食べるかは、季節によって変わります。
フンを調べた調査では、春は植物の葉、夏は昆虫、秋は果実の割合が増えるようです。
タヌキに餌をあげたい…!
タヌキは臆病ないっぽうで、人になつきやすい所もあり、愛嬌もあってかわいい生きもの。
おなかをすかせた様子を見ると、餌をあげたくなっちゃいますよね。
- うんうん。本物のタヌキって、出会うととっても可愛いんだもん。
- お腹すかせて、可愛そうだよ。
ただ、餌付けに様々な問題もあるのです。
たとえば、人間の暮らしへの被害は、ゴミを荒らされたり、農作物への被害など。
- なにより、タヌキ自身にとっても、大きなリスクがあるんじゃ…。
・油分と糖分が多い人間の食べ物を食べることで、免疫力が下がってしまう。
↓
・病気にかかりやすくなる。
↓
・ひとつの餌場に集まる事で、接触が増え、疥癬病(かいせんびょう)にかかってしまうタヌキが続出する。
(※この病気はここ十数年で爆発的に増加しているようです。)
- 疥癬病は体中の毛が抜けて、かかってしまうと、多くが死に至る病気じゃ。
- こわいよ~
病気に感染して命を落としたり、自分の力で餌を取ることが できなくなったり、農作物を荒らすようになって駆除される事になったり…。
タヌキにとっても悲しい状況を生み出してしまいます。
自然の中で、自力で餌を食べることも、生態系の中でのタヌキの大切な役割。
その場で餌を与えるよりも、タヌキがタヌキらしく生きていける自然を守り、大切にすること。
それが、その生きものとって、一番のプラスになるのかもしれません。
- 生きていく場所があること。タヌキくんはもちろん、森に暮らすぼくたちみんなにとっても、幸せなことなんだ
ホンドタヌキの豆知識 まとめ
ホンドタヌキは…
・夜の間に活動するよ。
・食肉目のイヌ科のグループ。
・犬の仲間で、爪は引っ込めることができないんだ。
・亜種に北海道に分布するエゾタヌキがいる
・雑食性で、ドングリや昆虫を食べるよ♪
この「生態メモ辞典」のコラムでは、ほかにも、日本の生き物の暮らしを紹介しています。
シリーズをはじめたばかりですので、まだヒヨコのようなコーナーですが、ゆっくり育ててまいります。
- 気になる生き物がいたら、楽しんでいってほしいな♪
\ぼくたちが日本の生き物を解説するよ! ゆっくり見ていってね/