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栄村ネットワーク
長野県栄村で活動するNPO法人です。被害や復興の状況を、理事である松尾真のレポートを元に更新していきます。

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公民館の再建は緊急の課題

 さて、今日は公民館の再建・補修について考えてみたいと思います。
 今回の地震で少なくとも3つの公民館が倒壊等によって使用不能になっています。森、青倉、横倉です。また、小滝の公民館は基礎等にかなりの損傷があり、数百万円を要する修復が必要だと聞いています。
 公民館の再建は急務です。
 第1に、公民館が使えなければ、集落の寄合等の場所を確保できません。
 第2に、本来、公民館は災害等の緊急時の避難場所に指定されていることが多いはずですが、公民館が使用不能となれば、緊急時に集落内で避難することができません。
 公民館の再建は、個々の世帯の住宅の再建と同時、あるいはそれに先行する最優先課題として位置づけることが必要です。

●都市の人たちには説明が必要なこと
 私は、地震直後から、青倉公民館の再建に必要な資金を集める基金活動に携わっています。直接の理由は、私が村を訪れるようになった時から青倉の公民館にお世話になったこと、「青倉米」を1つの結び目とする村と都市民の交流の場として何度も活用させていただいてきたことにあります。基金活動には東京、京都の交流関係者が関わって下さっています。
 ところで、公民館再建基金の活動を始めた当初、都市の人たちから「なぜ、住宅再建ではなく、公民館再建なのですか?」とよく尋ねられました。今も、取材にやって来るマスコミ関係者からは、「公民館というのは村民にとって、どんな意味があるのですか?」と質問されます。

 栄村の人にとって、公民館の必要性・重要性は当たり前のことですが、都市で暮らす人たちには公民館という存在は縁遠いものなのです。たしかに「コミュニティ・センター」というような名称の施設は都市にもありますが、住民が頻繁に利用するものではありません。ましてや、ある町内の人たちが頻繁に町内会の集まりをもつというようなことはほとんどありません。私は京都市の出身ですが、町内の行事といえば、京都独特の夏の子どもの祭り・地蔵盆というものがあるだけで、村の集落の区総会に当たるようなもの(町内会総会)はまったくありませんでした。町内に公民館などはなく、地蔵盆の集まりは町内の大きな家を利用させていただいていました。

 ですから、震災復興で公民館の再建を最優先課題の1つとすることについては、村外(とくに都市部)にむけて、その必要性・重要性を説明していくことが必要となります。
 逆に、都市部の人たちにとって「物珍しい」公民館の問題は耳目を集め、復興支援の1つの目玉ともなりうるといえます。

 
●公民館再建資金の確保のメド
 森、青倉、横倉は公民館の再建=新築が必要だと思われますが、現在のところ、県の「復興支援メニュー」では
「木造公共施設の建設を支援するため、国等の補正予算編成の動向を注視しつつ必要な支援を講ずる」

とあるだけで、具体的な財政支援の内容は出ていません。また、村の方針もまだ具体的には出ていません。
 そういう中で、青倉公民館再建基金は現在700万円を超える寄付金が寄せられています。都市の人たちの公民館に対する関心が高まっていることが如実に示されています。目標額は1,500万円。もうひと山もふた山も越えないと目標額には達せません。
 さまざまな方々からの寄付金をお願いすると同時に、国・県等への働きかけを強めていくことが必要です。そのとき、財政援助を得られやすくするために、〈どんな公民館が必要なのか〉について私たち自身が議論を深め、イメージを具体化していくことが必要だと思います。

青倉の仮設公民館。レンタル方式で年間約300万円


●避難所として機能した箕作公民館

 ここで注目したいのが箕作の公民館です。
 箕作公民館は昨年建て替え工事に着工、今年になって竣工し、3月11日に建物検査が終わったばかりでした。そして、3月12日の地震。新築の公民館はいきなり避難所として使用されたのです。


箕作公民館の避難所の様子 (保健師さんの指導で足を伸ばして体操)   

 このことは、青倉で起こった事態と比較すると、その意義が鮮明に浮かび上がります。青倉の公民館も避難所に指定されていました。青倉のみなさんがそれぞれの家を飛び出して集落内で集合、「外は寒いので、公民館に入ってもらおうか」と考え、電気をつけようということで公民館の中に入ろうとした矢先、「メリメリ」という音がして公民館が倒壊したのでした。
 老朽化のために避難所が避難所として機能しなかった、それどころか、とんでもない人的被害を出しかねなかったわけです。

 もう1つ、今回の震災と公民館の関係でみておかなければならない事例があります。
 小滝のケースです。小滝集落は月岡と小滝の間の道路が雪崩等で通行不能となり、除雪作業も困難であったため、京都市消防局のヘリコプターで北信小学校(当時)に避難しました。
 この場合、集落内で避難していた人たちに、中越大震災のときの山古志村のように洪水・土石流の危険が迫っていたわけではありません。集落の中にある公民館が耐震強度の十分にあるものであれば、少なくとも数日は公民館で避難することができたはずです。

 このことは多くの集落に当てはまることです。地震直後、集落間を結ぶ道路の多くで雪崩が起きていて、一時は通行不能になりました。公民館さえしっかりしていれば集落から外に出る必要はなかったのです。

 
●防災センターとして機能する公民館を作ろう
 そこで、今回、復興事業として公民館を再建するにあたっては、〈避難所として使える公民館を〉ということを前面に押し出すことを提案したいと思います。
 いま、一般的にはこういう施設を「防災コミュニティセンター」と呼ぶようです。
 〈避難所として使える公民館〉に求められる要件として考えられるのは、次のようなものではないかと思います。
イ. 耐震基準を満たすものであること。
ロ. 高齢者が避難集合しやすいように、1階部分に集会所が設けられていること。
ハ. 停電に備えて自家発電装置が備えられていること。
ニ. 炊き出しができる設備を備えていること。
ホ. 合併処理浄化槽があり、1日分程度の水が入る貯水タンクが付属していること。

 こういう施設を備えた公民館があれば本当に安心できると思います。

箕作公民館、正面からの姿


側面からの姿
(写真は箕作の方からの提供)


●建設資金をどう確保するか
 問題は建設資金です。
 箕作の場合、総額約3,800万円、うち半額が「県産材利用」での県(国)補助、残り半額は村と集落負担で、集落は各世帯20万円の負担でした。
 集落の自治の施設ですので、「自己(世帯)負担をするのは当然」というご意見があると思いますが、今回は震災で各世帯とも住宅復興等で多額のお金を要しているときですので、100%を助成金等で賄えることが必要だと思います。

 県の方針は先に書いたとおり、まだ確たるものはありません。
 いろいろ調べたところ、財団法人自治総合センターが、宝くじ社会貢献広報事業費として受け入れる受託事業収入を財源とする「コミュニティセンター助成事業」というものがあります。「総事業費の5分の3以内、1,500万円を上限」というものです。これは是非活用すべきものだと思います。ただし、難点は「各都道府県原則3件」という制約があることです。

 これを活用するとして、箕作の事例から考えれば必要額には到底達しません。総額の半額を県(国)の助成で賄えるように県(国)に要請し(補助率の嵩上げも要請すべきでしょう)、地元負担額に上記の「コミュニティセンター助成事業」を活用するということが考えられます。
 このように建設資金の問題はまだまだ調べたり、要望したりしなければならないことが多々ありますが、大事なことは、いますぐに行動を起こすことです。まず、それぞれの集落で公民館再建の企画書を作成し、県等への要望を行なう用意を整えることが大事だと思います。