このコラムでは、日本の生きものを身近に感じていただけるよう、彼らの暮らしを紹介しています。
- 今日はぼく、ヒミズだよ!
ヒミズは、低めの山・森や、草原の落ち葉の下で暮らしている生きもの。
モグラによく似た外見をしていて、日本の本州・四国・九州に生息しています。
- ちなみに、日本だけに生息している「日本固有種」なんだよ。
ヒミズとモグラの見分け方
- ヒミズ君は、モグラ君によく似ているね!
- どうやって見分けるの?
まず、違うのは体の大きさ。
ヒミズは、モグラよりも一回り小柄です。
アズマモグラが体長約13cmほどに対して、ヒミズの体長は約8cm。
- 毛の色も違うぞい。
ワシらモグラは茶色で、ヒミズくん達は黒っぽい色をしておる。
- それから、吻(ふん)、つまり鼻先も違うの。僕らヒミズの方が長いんだ。
ヒミズのしっぽ(尾)の特徴
- しっぽの長さも、違うんだね!
ヒミズは4cmほどの長い尻尾を持っています。
また、ヒミズの尻尾には長めの毛が生えているのも、見分けるポイント。
- 僕たちヒミズのほうが、しっぽが長いの。
体長の1/3くらいあるんだよ。
- ブラシみたいに、フサフサの毛が生えているんだね!
ヒミズの重さは?
ヒミズの重さはおよそ20g。
身近なもので例えると、落花生(ピーナッツ)2さやと同じくらいの重さ。
- ちっちゃい! 軽い!
ヒミズの学名は?
ちなみに、ヒミズの学名はこちら。
- 「Urotrichus talpoides」っていうんだ。
ヒミズは どんなグループの生きもの?
分類学では、それぞれの生き物は
〇〇目 →
〇〇科 →
生きものの名前
という順番で枝分かれをしています。さて、ヒミズは…?
トガリネズミ目の→
モグラ科の→
ヒミズ(種の名前)
…という分類になっています。
ちなみに、日本に生息するヒミズの仲間には、「ヒメヒミズ」という種もいます。
- ヒメヒミズ君は、僕たちヒミズよりも一回り小さいの。
ヒミズは半地中・半地上ぐらし
ヒミズは落ち葉の下など、地表近くに浅めの溝(ミゾ)を掘って暮らしています。
完全に土の中で暮らしているわけではなく、「半地中・半地上」で活動している生き物です。
このため、ヒミズは、モグラほど深い穴を彫りません。
- だから、モグラくん質よりも 手が小さいの。
一方、モグラは穴掘りに適した大きな手を持っています。
少しでも手の面積が広がるよう、「鎌状骨」という6本目の骨が存在するほど。
- わしらモグラの特徴はこの大きな手じゃ!
どんどん掘るぞ~!
この手の大きさの違いは、ヒミズとモグラを見分ける、わかりやすいポイントにもなっています。
ヒミズを漢字で書くと「日不見」
- ヒミズ君って、漢字で書くとどんな字なの?
- じゃじゃーん、「日不見」って書くんだよ♪
由来は、日光が当たるところには出てこないから、とのこと。
名前の由来の通り、日のあたる時間帯は活動しない生き物なのだと考えていました。
(すくなくとも地上では)
…ところが!
今回の解説イラストをTwitterに投稿したところ、
- 日中に姿を見る事もあるそうですよ
とのコメントを頂きました!
そこからWEBで調べてみると、野外で日中にヒミズの姿を見たという記事が、いくつかございました。
また、飼育下の環境ではありますが、東京ズーネットさんの記事では、上野動物園のヒミズくんは、お昼も活動して事が紹介されております。
地表に出るのは夜間のことが多いようですが、小獣館のヒミズは昼ごろになると、「ゴハンまだ~?」と言いたげに、土の中から出てきてウロウロし始めます。
中略
食事の時間は午後2時ごろです。ミールワームや牛レバーなどを与えると、小さい体でガシガシ食べています。
ヒミズ(日不見)の名の通り、地表に出るのはやはり夜間の事が多い様子。
ただ、総合して考えると、日のあたる環境で全く活動していないわけではないのかも…とも思います。
(考えてみれば、季節や繁殖シーズンなどによっても、変化があるのかもしれませんね…!)
「日不見」という語源のミステリアスな雰囲気もさることながら、まだ、活動の全貌はわかってないのかもしれません。
- えへへ、ミステリアスでしょ!
ヒミズの豆知識 まとめ
【ヒミズとは?】
・モグラに似ている、ひとまわり小さな生き物。
・尻尾は長く、フサフサの毛が生えているよ。
・深い穴は掘らないので、前足(手)は小さい。
・漢字で書くと「日不見(ヒミズ)」
・半地中暮らしなので、地上で見かける事も。
- 以上、ヒミズの豆知識でした。
この「日本の生き物・豆知識辞典」のコラムでは、ほかにも、生き物達の暮らしを紹介しています。
シリーズをはじめたばかりですので、まだヒヨコのようなコーナーですが、ゆっくり育ててまいります。
- どうぞ、気になる生き物がいたら、楽しんでいってくださいね♪
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