
よいポスターとは、どんなポスターでしょうか。
キレイなポスター、
ドキッとするポスター、
印象に残るポスター、
…いろいろありますよね。
私は、見た人の行動を変えるポスターだと、考えています。
そんなポスター作れるよう、大切にしてきた事が、3つ。
①それならできそう
②自分のことだ
③こんな風になったら素敵だな。
今日は、「行動を変える」防犯ポスター作りについて、お話したいなと思います。
ポスターのゴールは、行動にある
そもそも、デザインのゴールは知ってもらうことではなく、その先の行動にあると、私は考えています。
防犯ポスターなら、見た人が防犯のための行動すること。
企業の広告や商品パッケージなら、お客様が購入すること…。
「行動してもらうこと」
これはすべてのデザインに共通して言えることかもしれません。
サイズを 小さくする
だからこそ、提案する行動は、サイズ感が大切になってきます。
- それならできそうだ♪
そう思えるサイズまで小さくして、届けるようにしています。
これが、大切なことの1つ目、「それならできそう」です。
ちなみに、私がなぜこれを大切に思っているかと言うと…
人に行動をうながすのは、とてもむずかしいことだと感じているからです。
正しいことであっても…
例えばとつぜん、
- さあ! 防犯のボランティア活動を ぜひ始めてください!
こんな風に迫られると、すこし後ずさりしたくなっちゃいますよね。
みんな、何かと忙しくて、自分のくらしでいっぱいいっぱい。
どれだけ「いいこと」でも、気持ちや時間の余力は、ありません。
- そうだよね。わかっちゃいるんだけどね…!
真正面から正論を伝えるだけでは、人の行動を変えるのは、むずかしい…。
わたしは大学で環境問題を研究し、伝えていくにはどうすればいいのか、日々考えていたので、 この思いを何度も噛み締めてきました。
だからこそ、まずは行動を「誰でもできるサイズまで小さくする」こと。
そのなかで、ポイントになってくるのが、つぎのお話です。
ポスターの主役は「あなた」
2つ目に大切なのが主役はあなたというメッセージ。
デザインもイラストも、コミュニケーションの手段ひとつの手段です
だからこそ見た人に「関係ないや」と思われた時点で悲しいかな、終わりです。
力のあるポスターに共通しているのは、見た人が自分のコトとして捉え事ができる事。
自分のコトとして思ってもらうために、ポスター作りで私が必ずやってることがあります。
それはこの問いかけ。
- 自分なら、それ、やるかな?
伝えたいメッセージ(促したい行動)に対して、自分ならやるか?と問いかけてみること。
ここで大切なのは、普段の自分モードで考えてみることです。
誰しも防犯ポスターを作っているときは、防犯意識が高まっているモードになってしまいます。
作る過程で、犯罪の発生率や、防犯の効果がどれ程かを調べるうちに…
- 防犯って大切だ!防げるなら防がなきゃ!
というメラメラ防犯モードになります。
そうではなく、普段まったく防犯の事を考えてない、ぼーっと道を歩いてる時の自分として、考えてみること。
伝えたいメッセージは、普段の自分の感覚でも「それなら」と受け止められるものか。
考えてみるようにしています。
自分でやりたいと思えるサイズまで、小さくする
「ポスター見ても、自分なら、これ別にやらないよなぁ…」
メッセージの段階でこんな状態だと、防犯効果の出るポスターには仕上がりません。
たとえ100時間かけて絵を描いても、伝えることができないので、もったいなく感じます。
どこまでサイズダウンすれば、ちょっとやってみようかな?と思えるか。
普段の自分が納得できるレベルまで、まずは行動を分解するのがポイントです。
防犯ポスターは物語が重要
3つめに大切なのは、物語。
たとえば以前、防犯ポスターのお仕事で”一戸一灯運動”をテーマにしたものがありました。
一戸一灯という、表面上のテーマだけに注目した場合…
「1戸一灯運動とは」
「何時から何時まで門灯を点灯しておいてください」
「防犯効果のデータは…」
という情報の解説になってしまいます。
でも、ゴールは、灯りの付いた町の状態にすることではありません。
町に暮らす人にとっての、一戸一灯のメリット。
それは雰囲気がよくて、犯罪の心配がない町に、笑顔で暮らすこと。
物語に人は共感し、価値を感じる。
情報のパーツの寄せ集めのポスターは、味気なくなってしまいがち。
内容の理解はできても、そこに共感が生まれることはありません。
共感は、情報ではなくストーリーの中からうまれます。例えば…
なんだか懐かしいような温かい街のあかり。
つないだ手のぬくもり
ほっとできる月夜と街の家路のみち…
- こういう明るい街って、なんだかいいな…。
人はそこに何かの価値を感じられるからこそ、行動することができます。
物語からうまれる、ひとりひとりの「思い」が、行動をうみだす力になる。
そんな思いを込めて、物語をつむいでいます。
伝わる防犯ポスターのデザインは
以上が、ポスターを作る時の3つのコツのお話です。
警察署、市役所などの防犯ポスターのお仕事で、大切にしてきた心がけをご紹介しました。
①それならできそう
②自分のことだ
③こんな風になったら素敵だな。
この3つの要素あって初めて、見る人に「行動」がうまれます。
防犯だけではなく、社会の問題をテーマにしたポスターにも通じるお話なので、よかったら、試してみて下さいね。
- すこしでも、デザインのヒントになりましたらうれしいです。
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