ポスターづくりは、まちづくり

タヌキと傘のイラスト raccoon dog &mouse

  

防犯のポスターを作る時、どのような路線でいくか、頭を抱えてしまいますよね。

  

ニホンテンのイラスト 絵 日本の動物のイラスト marten illust
どんな防犯ポスターが効果的なんだろう?

 

犯罪したらこうなるよ!って罰を想像させるもの?

 

目がギョロッとこちら見てるデザイン?

 

恐ろしい犯人がこちらを狙っているもの?

  

いろいろなアプローチがありますよね。

 

私はこれまで10年以上、防犯のポスターを作ってきました。

 

そこで見えてきたのは、心を和ませる美しいデザインが、長期的な意味で防犯に効くということ。

 

ニホンリスのイラスト 夏毛のニホンリスの絵 日本の野生動物のイラスト Squirre illust
犯罪への注意を呼びかけるのに、ほんわか系?

 

そう思われるのは、ごもっともです。でも、これには理由があります。  

  

  

まちの景色の美しさで、犯罪の発生率が変わる

テンとアナグマ 本屋さんのイラスト お仕事の絵

  

まちがキレイだと、犯罪の発生率が下がる。

 

こんな現象を聞いたことがあるでしょうか。

 

犯罪心理学では「割れ窓理論」と呼ばれているものです。

  

割れ窓理論とは

窓が割れているのを放置すると、誰も注意を払っていないサインとなり、犯罪が起こりやすくなる現象。

 

人間、ゴミだらけの所では、ちょっとくらい…と思ったとしても、チリひとつ落ちてない所ではポイ捨てできません。

 

小さな軽犯罪、町のすさみが次の犯罪を誘発してしまうのです。

 

小さな防犯の取り組みが、長期目線で大きな効果に。

 

落書きを消す、ポイ捨て・騒音・違法駐車を取り締まる…

 

日々、コツコツと行う、ちいさな防犯。

地道な活動で、そこに派手さはありません。

 

ヤチネズミとモモンガ 手を握るイラスト Flying squirrel&Gerbil

まわりの人の心を、悲しませる、暗くさせる…
そんな小さな犯罪の芽を、丁寧にとりのぞいていく活動です。

 

明るく、居心地のいい街をコツコツ丁寧に作り出す。

そうすることで、重大な犯罪の種を未然に防ぐことができるのです。

 

 

ニューヨークでの成功例が有名ですが、日本でも足立区が町の美化に取り組み、犯罪の認知件数を減らすことに成功しています。

 

ビジネスの現場でも、ディズニーランドがこの理論を実践して成果を挙げているようです。

  

  

 

防犯ポスターは、町の景色の一部になる。

この犯罪心理学は、ポスターのデザインにも応用が効くのではなしでしょうか。

 

怖いポスター、ドキッとするポスター…

 

防犯のためとはいえ、気が重くなるポスターを町にベタベタ貼ってしまうと、美しい町の景観かは遠ざかってしまいます。

 

ニホンモモンガのイラスト Pteromys momonga

 

まちの中のポスターは、張り出された瞬間に、まちの景色の一部になります。

 

だからこそ、
まちの景色にふわりと調和し、心を和ませる空気感をうみだす。

 

…そんなあたたかいポスターが、深い所から効果を生み出すと考えています。

 

  

 

 

防犯ポスターづくりは、まちづくりのひとつ

私はデザインを考える時、決して「たかがポスター1枚」とは思わないようにしています。

 

ビルを建てる、施設をつくる…まちづくりとしては本当に小さな存在。

 

たとえポスター1枚でも、「まちの一部になって、全体の空気をうみ出す1つの存在」

 

ニホンヤマネ ニホンアナグマ 寄り添う絵 Badger&dormouse

  

寄り添ってくれるコトバ、心地よいもの、繊細なものに触れると、誰しも心がほっとします。

 

心がほんわりしている人が増えると、その町の雰囲気は変わります。

  

 

防犯ポスターは、まちのひととのコミュニケーション

コウベモグラとシマリス 鉱石のイラスト mole&Chipmunk

  

ポスター1枚を作る時でも、どんな目線でその絵に向かうかで、仕事の精度は変わります。

 

短期的な効果だけなら、ギョロッと睨むポスターが、「ギョッ」としますし、最も効果的かもしれません。

 

でも、何もしてないのに「見てるぞ!」とギョロギョロと睨まれたり、「○○するな!」と注意されまくる

 

そんなポスターがベタベタ張ってある町は、ずっと住みたい、大切にしたい町、愛しい町と思えるだろうか?

 

そんな風にも思うのです。

  

シマリスとツキノワグマ そっと寄り添う絵 chipmunk Moon bear

人の心に笑顔を生むことで、犯罪・環境…世の中の問題の根っ子にアプローチする。

 

それがアートの力であり、デザインのお仕事の本質だと私は考えてます。

 

アプローチの1つとして、防犯ポスターづくりに悩まれてる方にとって何かヒントになれば幸いです。
  
  
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日本の小さな生きものイラスト作家 いぬいさえこ
日本の小さな生きものイラスト作家 いぬいさえこ
小さな生きもの達の、小さな物語を描いています。

大学では環境問題を中心に社会学を専攻。

環境・教育・まちづくりのポスターなど、社会問題×アート表現のお仕事に10年以上携わってきました。

【グラフィックデザイナー時代のポスター・リーフレットのお仕事】
東京大学 日本学術会議 大阪市 堺市 大阪府警察 etc...

「心」を出発点に、世の中の問題を考えるのがすきです。

子供の頃からいろんな事が気になったり、考えたりしてしまう内向的な性格。

たくさん悩んでしまう分、繊細な人のこころに、絵でそっと寄り添えたら…と思ってます。