ポスターづくりの1歩目は、人の顔を思い浮かべること

シマリスとツキノワグマ そっと寄り添う絵 chipmunk Moon bear

  

防犯ポスターを作るのって、難しいですよね。

 

まず、悩んでしまうのが、メッセージづくり。

 

ニホンテンのイラスト 絵 日本の動物のイラスト
うーん…誰にどんなメッセージを考えたらいいのかな?

今回は、メッセージを作りやすくする方法をご紹介します。

 

それは、一言でいうと誰か一人の顔を思い浮かべること。

 

 

誰に伝えたいのかを、考える。

リスのイラスト ニホンリスの絵  本を読む女の子の絵

 
デザインをする時に、なにから始めたら よいのでしょうか。

 

わたしは まず 誰に伝えたいのか決める事、と考えています。

 

ニホンイノシシ うりぼうのイラスト
え?そんな事、基本でしょう?

…と思われるかもしれません。

 

でも、案外ありがちな落とし穴なのです。

 

多いのは、フワッとジャンルだけ決めて取り掛かるケースです。
 

タヌキのこども raccoon dog 
今回は、「交通安全」で、ポスターを作るぞー!  

 

タヌキのこども raccoon dog 
(30分後)…うーん、うーん、で、なにを描けばいいの?

といった具合に、見切り発車してしまうと、行き詰まってしまうことが多いもの。

  

 

 

  

   

 

 

ポスターデザインは8割、情報集め

シマリスと天球儀のイラスト Chipmunk& Heavenly ball

 

このため、まずは「届けたい人」を決めてしまうのをおすすめします。

 

まず、デザインの工程で大きなウエイトを締めているのは、データ集め。

 

たとえば「交通安全」というフワッとしたジャンルだけで、やみくもに素材集めをスタートさせた場合…。

 

テーマが漠然としているので、とても大変です。

 

ニホンイノシシ うりぼうのイラスト
データ、グラフ、時間帯、事故率、年齢別、場所、理由etc…

 

ニホンイノシシ うりぼうのイラスト
うわーっ 調べることが膨大すぎる~!

しかし、通安全とヒトくちに言っても、高齢者向けに描くのか、小学生向けに書くのがで、調べたいポイント、深堀りしたいデータは大きく変わってきます。

 

事故が起きる時、どこに原因があるのか、どんな行動を提案したいのか。

 

また、ポスターを届けたい人が、ドライバーなのか、歩行者なのかで、調べたいことも、届けたいメッセージも、違ってきますよね。

 

 

 

 

 

誰に、何を をハッキリと

テンとアナグマ 本屋さんのイラスト お仕事の絵

 

このように「誰に伝えたいか」をハッキリさせることで、調べる内容が見えてきます。

 

大切なことは、この2つ。

 

・誰に(ターゲット)  

・何を(目的)

 

ポスター作りの全ての工程で、迷った時、悩んだ時、この「誰に何を」は、立ち帰りたい大切なポイントです。

 

 

 

 

 

 

ポスターを届けたい人、3つのタイプ

ヒミズの親子 新聞を読むお父さんのイラスト shrew-mole
 
では、”防犯ポスターを届けたい人”とは、どのような人を想像すればいいのでしょうか。
   
私は警察署・市役所のご依頼で防犯ポスターを何枚も制作してきました。
   
このため、町で防犯ポスターを見かけると、ついシゲシゲと分析するクセがありあます。
   

そこで気づいたのが、防犯ポスターのターゲットは、3つのグループに分けられるということ。

 

①被害者側に危険を伝えるもの

「危ない!こんな犯罪がありますよ!」

   

②加害者に罰を与えるもの
「見てるぞ!こんな刑罰が待ってるぞ」

 

まちの人に、防犯にプラスになる行動を提案するもの。
「○○をすると、こんな効果がありますよ」

 

 

 

 

 

 

防犯ポスターを、街で見る人とは

エゾシマリス シマリスの赤ちゃん 抱きしめるイラスト

  

ところで、防犯ポスターはドキッとさせるものや、コワイな!と目をひくものが多くありませんか。

 

ニホンテンのイラスト 絵 日本の動物のイラスト
そういえば、よく見るかも…

怖い系のデザインは3つのターゲットのうち

①被害者側への注意」

「②加害者への罰の警告」

が目的になっています。

 

詐欺・窃盗・性犯罪…

 

具体的な犯罪のシーンを描いているので、刺激が強く、恐怖心をあおるデザインが多い傾向にあります。

 

 

 

 

共感を大切にするデザイン

タヌキと傘のイラスト raccoon dog &mouse

 

一方、3つ目の「まちの人に行動を提案」は、変化球のアプローチ。

 

安心できる暮らしの様子を提案して、こんなふうになったらいいな…と共感してもらうこと。

  

ヤマネのイラスト 絵 日本の動物のイラスト
あ、これなら ちょっと、やってみたいかも…!

と自発的な気持ちで、防犯への取り組みに一歩を踏み出せる提案をする事です。

 

詳しくはこちらの記事をごらんください。

 

 

この「まちのひと」に向けたデザインは、個人的にとても好きなアプローチです。

 

ポスター自体が、安心できる暮らしを描いた優しいデザインになるため、あたたかい存在として街に溶け込みます。

 

ニホンノウサギとホンドモモンガのイラスト 抱きしめる絵。

 

また、割合を考えて、ポスターを目にする人の多くは、加害者・被害者…まだそのどちらでもない、まちに暮らす人だからです。

  

とはいっても、これは、あくまで私の好みです。

 

防犯ポスター作りに、唯一の正解はありません。

加害者、被害者、まちのひと…

   

どんな人に向けたデザインにすれば、ピッタリとはまるかは、届けたい内容によっても変わります。


ただ、どんな場合においても、「誰に向けて届けたいのか」は、クリアに決めておく事をおすすめします。

 

 

ひとりに、とどけること

ホンドギツネ キツネの親子 手を握るイラスト fox Vulpes vulpes japonica

  

そもそも、なぜ具体的に届けたい人を「誰か一人」決めたほうがいいのでしょうか。


それは、たった一人に届けたい言葉の方が、より響くからです。

 

ポスターを作っていくと、

 

ニホンテンのイラスト 絵 日本の動物のイラスト
あの人にはこの標語を…
ヤマネのイラスト 絵 日本の動物のイラスト
このひとには、こんなメッセージ

…こんなふうに、1枚の中に色んな人へのメッセージを盛り込んでしまう事態が起こります。

 

デザインのお仕事の現場では、とても頻繁に。

 

 

 

 

 

メッセージは、ひとりにむけて

ニホンヤマネ ヤマネのイラスト・画像 ヤマネと本 dormouse illust  book

   

さらには ①加害者 ②被害者 ③まちの人…属性の違うターゲット

 

カヤネズミの顔
全員への標語を入れましょう。せっかくなので!

という話になる事もあるのです。

  

こうなると、どれだけ整理しても、文字が多く、ゴチャゴチャした印象のポスターに仕上がります。

 

情報が多いと、一つ一つのメッセージは弱くなり、誰の心にも残らない、薄味のポスターになってしまいます。

 

 

 

1ポスター、1メッセージ

フクロウのイラスト 月夜の絵

  
印象に残る=効果の出るポスターにしたいなら、ひとつのポスターで言いたい事は、ひとつのメッセージであることが大切です。

 

メッセージをシンプルにするには、まずはターゲットを明確に一人に決めること。

 

ひとは、10個のボールが一度に飛んできたら全て落としてしまいますが、1個ならキャッチできる確率はグンと上がります

   

ポスターを見るために町を歩いている人は、ゼロなのです。

 

仮に見てもらえても、およそ3秒程度のポスターは、とにかく主役をハッキリさせることが大切なんです。

 

 

 

 

 

 

 

メッセージを「伝えたい人」を、守り抜く

コウベモグラとシマリス 鉱石のイラスト mole&Chipmunk

  
もうひとつ、大切なことがあります。

 

それは、一度決めた「届けたい人」を、最後まで守りぬく、という事。

  

私はデザイン業10年目をこえたあたりから、「目的は作っているうちに、なんだかんだブレるもの」前提に考えるようになりました。

  

だからこそ、
    
打ち合わせ・調査・着想・ラフ・コピーの立案・デザイン・修正・調整…
    
全ての工程で、ターゲットを振り返るようにしています。

  

 

 

 

 

 

 

ポスターづくりで、迷ったときは

ここは緑にする? フォント1pt大きくする? 人物が大きすぎるかな?

 

デザインは選択の繰り返しです。

 

100回…1000回と、小さな・大きな選択を繰り返し続けて、やっと1枚のポスターにしあがります。

 

デザイナーはゴールに向かって、その1000回以上の選択を統一させる必要があります。

 

すべての選択には理由があります。

 

きれいだから
ニホンテンのイラスト 絵 日本の動物のイラスト
かわいいから
ヤマネのイラスト 絵 日本の動物のイラスト
なんとなく…

こんな選択を繰り返していると、アレヨアレヨと、たとえキレイでも、誰向けに何を言いたいか、よくわからいポスターに変身していくのです。

 

そこで、選択の基準にすべきが「誰に何を伝えたいか」

 

大切なのは1000回の選択を「伝えたい人に、伝えたい事を、伝える」という1本の軸に通すこと。

 

最初に「誰に何を伝えたいか」を決めたら、壁に貼っておく。

 

ホワイトボードに書いて作ってる間は何回も見るようにする。

 

これくらいの熱量で、大切にしてください。

 

きっとグッと伝わるポスターに仕上がります。(昔の自分に声を大にして言いたい話です)

 

 

 

 

 

届けたい気持ちを、大切に

 

このメッセージは誰に伝えたいんだっけ?

 

防犯ポスターをつくる時、ときどき立ち止まりながら、考えてみることをおすすめします。

 

大切な人の顔、たったひとりの顔を思い浮かべて、デザインしてみてください。

 

きっと、あたたかくて、心に響くポスターに、仕上がります。

 

 

 

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日本の小さな生きものイラスト作家 いぬいさえこ
日本の小さな生きものイラスト作家 いぬいさえこ
小さな生きもの達の、小さな物語を描いています。

大学では環境問題を中心に社会学を専攻。

環境・教育・まちづくりのポスターなど、社会問題×アート表現のお仕事に10年以上携わってきました。

【グラフィックデザイナー時代のポスター・リーフレットのお仕事】
東京大学 日本学術会議 大阪市 堺市 大阪府警察 etc...

「心」を出発点に、世の中の問題を考えるのがすきです。

子供の頃からいろんな事が気になったり、考えたりしてしまう内向的な性格。

たくさん悩んでしまう分、繊細な人のこころに、絵でそっと寄り添えたら…と思ってます。