防犯ポスターのデザインのコツ【コンセプトづくりに使える3つの方向性】

シマリスのイラスト 絵を描くシマリス りすの子供の水彩風イラスト

こんにちは、大阪のイラストレーターのいぬいさえこです。

 

防犯ポスターづくり、どのようなテイストでいけばいいのか、難しいですよね。

 

この記事では防犯ポスターのコンセプトを考える時に便利な、3つの方向性を紹介します。

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防犯ポスターには3種類ある

私は警察署・市役所のご依頼で防犯ポスターを何枚も作ってきました。
  
このためか、町で防犯ポスターを見かけると、ついシゲシゲとデザインを分析する癖がありあます。

そこで気づいたのがこの、3つのターゲット。

  1. 被害者側に危険を伝えるもの
    「危ない!こんな犯罪がありますよ!」
  2. 加害者に罰を与えるもの
    「見てるぞ!こんな刑罰が待ってるぞ」
  3. まちの人に、防犯にプラスになる行動を勧めるもの。
    「○○をすると、こんな効果がありますよ」

防犯ポスターはドキッとさせるものや、コワイな!と目をひくものが多くありませんか。

 

このデザインは3つのターゲットのうち、1.被害者側への注意、2.加害者への罰の警告がコンセプトになっています。

 

詐欺・窃盗・性犯罪…

 

具体的な犯罪を扱うので、どうしても刺激的だったり恐怖心をあおるデザインが多い傾向にあります。

 

一方3つめは、それとは全く別のアプローチ。

 

いわば攻めの防犯です。

 

「積極的な防犯活動」ってどんなこと?

積極的な防犯活動とはどのようなものでしょうか。

 

・子供達に挨拶をし、見守る

・犬のお散歩かねて、町をパトロール

・玄関灯で明るい街にする

 

このように犯罪が起こりにくい町の空気をデザインするもの。

 

犯罪に気をつけるのでもなく、怯えるのでもなく、罰するのでもない。

 

心理学や社会学の知識、活動の効果や統計からそもそも犯罪が起こらないようにする。

 

私の場合は、この積極的な防犯活動をテーマにしたポスターが、犯罪心理を考える上で一番効果的だと考えています。

 

恐怖心や罰を避ける方向へアプローチするだけでは、犯罪の種、イライラやギスギスした心はなくなりません。

心を和ますデザインが犯罪を防ぐ

そもそも、犯罪は心がギスギスと荒れている時に起こります。

 

人は心がほんわかしたり和んでいる時、優しい気持ちの時に犯罪には走れません。

 

暴力的な気分になったり、ちょっとくらいイイや…と人を傷つけることへのハードルが下がるのは、決まってイライラしているときです。

 

でもこの事実以上にコワイのは、いつも笑顔でいられる人もそういないということ

 

生まれつき、いい人も悪い人もいない。

いい人・悪い人。被害者・犯罪者。

 

それは生まれつき決まっているわけではありません。

 

犯罪の種=イライラの感情は誰もが持っていて、日々コントロールしています。

 

帰りの道では疲れが溜まってたり、学校や会社でヘトヘトになってたりします。

 

通勤・通学‥朝からさっそくテンションが低い。ありますよね…。

 

まちを歩く人全員が潜在的に軽犯罪の種になるイライラの心を持っています。

 

防犯ポスターはまちの景観の一部。だからこそ、ふと町で目にする心をホワンとさせるデザインであるといいなと思います。

 

実際、街の景観がキレイだと犯罪発生率が下がるという現象もあります。

 

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明るい町並みのビジョンは、行動のスイッチを入れる

もう1つの理由は、嫌な未来より、楽しい未来の想像の方が、行動のスイッチが入りやすい事。

 

こんな罰が待ってるよ!と脅されたり、こんな風になったら嫌でしょ、と知らない人に道で突然言われても、いい気はしないものです。

 

負の感情は、人から行動力を奪います。

 

「イイネ!」だったり、「あ、おもしろそう」というビジョンが見えてこそ、行動の動機が生まれる。

 

知ってもらうことでも、共感することでもなく、最終的に何か行動につなげることを、ポスターのゴールだと考えています。

 

心を和ませ軽犯罪の種になるイライラを軽くする。

そして、明るい町を想像させて行動のスイッチを押す。

 

北風と太陽の話で例えると、まさに太陽のようなスタンスのポスターが効果的なのでは無いかと思います。

 

とはいっても、私も直接窃盗や詐欺のなど犯罪を題材にしたポスターの制作をすることもあるので、ここは本当に難しいところです。

 

犯罪を扱いつつ、人の心を和ませるデザイン…相反するものをどう融合させるか。

 

さじ加減に毎回一番苦労しています。

 

それでも、少しでも絵柄やメッセージ、タッチで、人の心を和ませる。

 

そしてほっとする町の景観づくりの、一部になるようなデザインを目指しています。

 

さいごに

いかがでしたでしょうか。

 

防犯ポスターのコンセプトを考える時に便利な、3つのターゲットの紹介でした。

 

人の印象に残る=効果の出るポスターにしたいなら、ひとつのポスターで言いたい事は、ひとつのメッセージであることが鉄則です。

 

人間、10個のボールが一度に飛んできたら全部落としてしまいますが、1個なら確実にキャッチできる確率はグンと上がります

 

ポスターを作っていくと「あの人にはこの話」「このひとにはこのメッセージ」

 

…と気づけば1枚のポスターにモリモリに盛り込んでしまっていたという事態が起こります。

 

デザインの現場では何故か頻繁に(笑)

 

しかし情報量が多すぎると、一つ一つのメッセージはグッと弱くなり、誰の心にも残らない、薄味のポスターになってしまいます。

 

「そもそも、このメッセージは誰に伝えたいのか?」

 

①被害者?②加害者?③まだどちらでもない市民?

 

防犯ポスターをつくる過程で、何度か立ち止まりながら、考えてみることをおすすめします。

防犯デザイン・防犯の広報のひとつの考え方として、何かヒントになりましたら幸いです。

 

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いぬいさえこ
いぬいさえこ
大阪のイラストレーター。こども・動物・時間・繊細なものを描いています。ものごとを掘り下げて考える過程が好き。大学では環境問題や文化を研究。

コンセプトから立ち上げるものづくりを得意で、市役所・環境問題など、社会との接点を持つ企画に多く携わってきました。


どんな課題も、スプーン一杯の遊び心で、笑顔に変わる。
アートにはそんな魔法の力があると信じています。